大阪高等裁判所 昭和50年(行コ)1号 判決
神戸市北区有野町有野二、一三三番地
樫本定雄
同市兵庫区水木通二丁目五
被控訴人
兵庫税務署長
橋堂平
右指定代理人
岡準三
中山昭造
黒木等
清原健二
井上修
右当事者間の課税処分取消請求控訴事件につき、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
原判決を取消す。
本件を神戸地方裁判所に差戻す。
事実および理由
控訴人は、「原判決を取消す。被控訴人が控訴人に対し昭和四八年四月二八日付をもつてした課税処分異議棄却の決定を取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。
当事者双方の事実上および法律上の主張ならびに証拠関係は、控訴人において「原判決は、控訴人が本訴において取消しを求める被控訴人の昭和四八年四月二八日付課税処分異議棄却の決定は、同年五月八日に控訴人に送達されたところ、控訴人が本訴を提起したのは昭和四九年六月三日であるから、本訴は行訴法一四条所定の三ヵ月の出訴期間徒過後のものである、として本件訴を却下している。しかし、控訴人は前記棄却決定の送達を受けたのち、その一ヵ月以内である昭和四八年五月二五日に国税不服審判所長に審査請求をしたが、翌四九年四月二四日付をもつて審査請求棄却の裁決がなされ、五月一七日に控訴人に送達されたので、その三ヵ月以内である同年六月三日本訴を提起した(行訴法一四条参照)ものであり、本訴が出訴期間を遵守した適法な訴であること明らかである。」と述べ、被控訴代理人において「控訴人の主張する右の経過は認める。」と述べたほかは、原判決事実摘示と同一であるからこれをここに引用する。
職権により調査するに、控訴人が本訴を提起するまでの経過が控訴人が主張するとおりであることは被控訴人も認めて争わないから、そのように認めるのが相当であり、控訴人の本訴提起の日が控訴人主張のとおりであることは記録上明白である。しかして、右経過によれば、控訴人の本訴は、出訴期間を遵守した適法なものとして、すすんでその本案の当否について検討すべきである。
よつて、控訴人の本訴を出訴期間徒過後に提起された不適法なものであるとして却下した原判決は取消を免れず、さらに本案について審理を遂げさせるため、本件を神戸地方裁判所に差戻すこととし、主文のとおり判決する。
(裁判長判事 井上三郎 判事 戸根住夫 判事 畑郁夫)